私の女神さま
元気を出したいときに観るのはいつも
Netflix配信、ビヨンセの“HOME COMING ”と決まっている。
アメリカの野外音楽イベント「コーチェラ」の伝説動画だ。
私にとってビヨンセは神さまに極めて近い域にいる。
とにかくその良さを語りたいのだがこればかりはコーチェラの演出の中に全てが詰まっているので言葉にするのが難しい。
神さまに近い人はやはり軽々しく表現ができないのだ。
ビヨンセといえば90年代のデスティニーチャイルド時代を思い描く人もいるかもしれない。
もちろんデスチャも聴くのだが、きっとビヨンセはその頃から悔しい思いをいっぱいしてきた。
ひとりの女性として、そしてひとりのアフリカ系アメリカ人として。
求められる女の子像を表現し、権力を持った偉い人たちに従順に従わざるを得ない社会の状況にきっとずっと怒ってきたのだ。
そしてビヨンセは2018年、コーチェラ初の女性であり、アフリカ系アメリカ人としてのヘッドライナーを務め上げた。
ビヨンセの圧巻のパフォーマンスは歴史的と言われ通称「Beychella(ビーチェラ)」とも呼ばれている。カッコイイな!
ゲストには夫のJAY-Z、妹のソランジュ、そしてデスティニーチャイルド時代のミシェルとケリーが駆けつけた。奇跡のデスチャ再結成にファンは歓喜感涙。
娘のブルー・アイビーを連れてリハーサルに励む様子もフィルムにおさめられている。
母としてもキャリアを積む女性としても本当に美しい。
とにかくそのパフォーマンスがすごい。
ブラックカルチャーを強烈なパワーで表現している。「白人に受け入れられる程度の」ポップなR&Bではなく、重厚なブラックカルチャーの演出だ。ルーツへのプライドと感情の表出そのものが感じられる。
女らしいかわいい動きや愛されるためのモテを意識した動き、とかそんなんじゃない。
女だって鍛え上げた体でかっこよくも、美しくも、ズシっともドシっとも構えて踊れる。ドスの効いた声で叫べる。
かと思えばしなやかに曲線を描いてセクシーにも踊れる。足を蹴り上げて振り落とし、ボクシングのようにファイトスタイルをとり、高らかに歌ってフォームラインを組み女性のプライドを見せつけてくる。かっこよすぎる。
子どもを産んだあとの母親としての体、有色人種が持つ肌の色、長い髪、すべてを最大限の魅力にしている。
ビヨンセが体現したのは新しい時代の女性のボス像だ。
バックダンサーやバックコーラス、バンドにいる人も様々。アフリカ系アメリカ人をはじめとして男性も女性もいろんな人種がいるし、スリムな女性もふくよかな女性もいる。
ステージから「LADIES!」と煽られると「いえーいっ!」と拳を突き上げて応えたくなる。同時にちょっぴり涙も出てくる。
そこにあったのは先人たちへのリスペクトと、これまでのロールモデルを超えて新しい価値観を発信する勇気ある人の姿だ。
あれを観たから私もがんばれるはずだと思う。
ビヨンセなら応援してくれると信じ込んでいる。
自分が自分で産まれてよかった。嫌なことは嫌だって言っていいんだ、と思える。
だから私はこの人生をステージに上がった気持ちで悔いなくやり切るんだもんねっ!
そんな気持ちになれる私の女神さまです。