泣いたり話したり聴いたり笑ったり。
これは割とキツイですねェ…と思う出来事が続くこともある。
まぁ、それが人生だ。偉そうな書き出しだがここはひとつ格好つけたい。
ある午後、私は腐った屍肉のごとくベッドにのびていた。目は虚ろ、お岩さんも顔負けのコケ具合である。
なんとか気を紛らわせたくてボーッとラジオクラウドで好きな番組を流していた。
あまり真剣に聴いていたわけではない。
しかしだんだんパーソナリティーがノってくるのがわかって、熱がこもってくる。
そのパーソナリティーはまったくもってヒップホップやラップに関係する方ではないのに私が聴いているのはまるでそれだと思えてくる。リリックでライムでフロウな感じに面白おかしく流暢に軽快に言葉をポンポン出している。
すごい。
腐った屍肉だった私は遂にトドメを刺された。
おかしさを堪えきれず勢いよく鼻から噴き出す。
少し起きあがろうと試みてガクッと挫折し背中を丸めて四つん這いのガニ股状態となり笑い出すその姿は、まるで昆虫だった。
イーーーーっヒッヒッヒ!ヤバイ、あーやばいダメだ、とまらない
……ィイーーーーーッ!!ヒーッヒッヒッヒッ!!…ヒッ…ヒッ…ヒッ…!
ィイヒィーーーーっ!ヒッヒッヒーッッッ!!
ヒィーーーっ!!
不気味なロン毛のカマドウマ、
いや繁殖期絶頂のコオロギよろしく、少なくとも二分間は女の高笑いがアパートに響いたので近隣住民は少し怖かったかもしれない。
抱腹絶倒とはまさにこのことだ。
そのまま笑い続けると次第に涙が出てきた。
それは安堵の涙だった。
よかった。笑える。
よかった。
本当に、よかった。
つらさの中にあって自分の中に笑える自分がいると確認できた時、
あるいは音楽に感動できる自分をまた感じられた時など、
私は安心していつも泣いてしまう。
まだ私はつらさだけに支配されているわけじゃない。ちゃんと色んな感情が残ってる。
悲しいことが起きても、人生のすべてがそれに包まれてしまうわけじゃない。
私には色んな一面がある。
だから大丈夫。その時そのときの自分がまたちゃんとそれなりに対処していくから。
私のタイミングで笑ったり泣いたりしていこう。
そんな私が最近取り入れようと思うのは、悲しくて涙が出た時に外国の映画のワンシーンのようにアンニュイな感じで高級チョコレートを頬張ることだ。
どうせ悲しみに浸るならとことん映画チックにやってみてもいいかもいいかもしれないと思った次第だった。
高級チョコレート、買っておかなくちゃな。