つらいときは
つらいときは、私は今宇宙船に乗っているのだと思うようにしてる
みんなが船員で地球というひとつの船に乗っているところ
ときどき窓の外に星が爆発する光があって、そのあとに大きな音がする
爆風にさらされるけど、船にみんなで乗っているとわかるから大丈夫
船員の名前はあまり多くは知らない
みんな異星人だから共通言語もない
どういうコミュニケーションをとるのか、どういう生態系なのか、わからないことばかり
私と違う栄養成分を摂っていて違う文化の中に生きている
やり取りは全部シグナルで、交流は単なる電子データ
いつだって削除実行可能だけど、自分だけのひみつの保存先があるんだよ
感情を出したらウィルスにかかるから安全のため気持ちは変換したモールス信号で送ろう
何もわからなくても、みんなが安全な行き先を目指していることは一緒だからきっと大丈夫
信じることはそれだけだ
無重力だからふわふわ飛べるし、時空も関係ないから過去へも未来へも簡単にアクセスできる
電車の中も、会議室の苦しさも、オンラインの枠の中におさまった自分も、不器用な色々も、ぜんぶ宇宙船の中にいるからだと思えばいい
宇宙人なのだから周りの誰かに変だと思われても、たぶんきっとそれでいい
信じられる唯一の何かのために生きていこう