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“CHEF”(シェフ)

 

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映画や音楽の邦題サブタイトルがあまり好きではない。

補足説明しないとわからないと思われてるのか?と軽くバカにされた気持ちになってしまう。

でも、合ってるのか合ってないのかいまいちピンとこないサブタイトルを「邦題らしいよねぇ」と笑えるからこれはもしかしたら好きということなのかもしれない。

 

"CHEF"この映画がすごく好きだ。

気持ちが弱ると繰り返し観ているもののうちのひとつである。

まず、料理の美しさ、映像美は言うまでもない。完璧な芸術を感じる。

料理する、食事するというテーマに関しては思い入れがあるのでその点だけで見入ってもよいくらい、ただ素晴らしい。

音楽もラテンノリなものが多く終始最高、ここでまず元気になれる。

 

「アイアンマン」「カウボーイ&エイリアン」など、アメリカの大衆向け大作映画を手がけたジョン・ファヴロー監督が自ら出演する作品でとてもかっこいい。

こういう大人を求めてた!という大人だ。

スルースキルがまるでなくて、ぜんぜん冷静じゃない。

下品な言葉使いが日常茶飯事で、あと先をまるで考えずにキレてしまう大人。

ちゃんとダメな人で、でも「ここぞ」ってことだけは絶対に譲ることができない芯のある大人。

子どもの方が大人びて見えるくらいの振る舞いをする大人。

こういう情熱的な生き方をする人を本当にカッコいいなと思う。

そして、このキャラクターが持つ最大の魅力は自分の経験に絶対の自信を持ち、その佇まいがとにかくセクシーである点だ。

うっかり恋する相手はこういう人でなくちゃ!と思ったりもする。

綺麗にまとまった良き大人をできるのは、そもそもが相当に善い人だからなのだろうなと思う。それも本当に素晴らしいのだけど、私はこの映画の主人公のような人に現実でも強く惹かれてしまうところがある。

 

「アイアンマンシリーズ」がファミレスのグランドメニューだとすると、この「CHEF」は隠れた美味レシピというイメージだ。

 

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私はこの作品における「シェフ」は映画監督自身を、

「料理」は映画作品を、

「ブログの酷評」「SNS上の無責任で軽はずみな評価」を観客側、社会の声を表すものだと思って観ている。

「うちはレストランだ。固定客は馴染みのメニューを望んでる。アートをやりたいなら他所でやれ」という経営者。

自分のやり方でいきたいなら出て行く他に術はない。

「ここを出ても、どこに行っても“経営者”はいるわ」というマネージャーの言葉が刺さる。

どこに行っても結局「誰かの」やり方になってしまうのはどの業種にいても一緒なのだろうなと思う。

「そのままの自分」でいることと「利益を出せる商売をすること」は相性が悪いのだという気持ちにさせられる。

 

観るほどに「映画作品でこういう思いを重ねてきまくったのだろうな、この監督は…」という気持ちが沸々と湧き起こってくる。

アイアンマンの新作を断ってまでこの作品を手がけたのだと言うから、そうなんだろうと思う。

 

ツイッターがどういうものかもわからない主人公に対してソーシャルメディアをポンポン使いこなす子どもは怖いほど聞き分けがよい。

ちゃんと行間を読んでいるし、大人の言わんとすることを察して諦めるのが異様に早い。

 

この映画を通して観るのは親子愛とかそういうことだけではなくて「お互いを知ろうとしながらただ一緒に過ごすこと」の大切さだという気がする。

一緒に過ごすための行為は料理にもSNSにもなり得る。

無作為に時間を過ごすのではなく、その行為を通して相手を知っていくためなら、きっとなんだっていいのだ。

そこにあるのが相手への敬意である限り、未知のものは興味関心へと変化し、新しい自分と相手を知るための術になるのだと思う。

そして、面白い、好きだと思う気持ちこそが人がなんと言おうが純粋に強いのだということ。

個人的に、やはり料理はいいね。

私は人と“一緒に料理する”ということにはものすごく強い力があると常々思っている。

あと、元妻の実家が太くて元妻がウルトラ級の美人で協力的というのがアメリカン・ドリーム感があって夢だなと思う。

やたらにリアリティにだけ振ってないところにコメディ要素があって良い。

強力なパトロンがいるってやはり強い。

その先がマイアミのキューバサンドというのがまた味があって、お金持ちの人が旅して手にするホームメイドを感じられる設定がいいなと思う。

 

追記

Netflixにある「ザ・シェフ・ショー」は夜中に観てはいけない。

 

・アイアンマンでロバート・ダウニー・Jr.とスカーレット・ヨハンソンと共演し、この映画で監督と再び共演しているのも面白い。